よんな~便り

ひっそり活動継続ブログです

意思表示

砂川秀樹さんが発行している『GRADiメルマガ』にも文章を書いているのですが、こちらでも再掲載して読んでもらってはどうかしらと砂川さんからの提案がありUPすることにしました。

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意思表示

 

何年か前に医療意思表示書を書いた。
きっかけはLGBTの活動をする中で自分のセクシュアリティ―をオープンにしたことだった。
 
この話を書こうと思って、昨日パートナーに医療意思表示書、わかる所に置いてある?と尋ねたらすぐに持ってきてくれた。おお!偉い!ありがたい!と思った。私だったら、どこへやったっけなぁとなる所だw 
 
日付を見ると2015年1月となっていた。
それまでやっていた自宅で自分で出来る腹膜透析から、週三回通院する血液透析へ完全に移行することになって、必要性を感じたんだったなぁ
透析中に急変しそのまま救急外来へ運ばれてしまうケースを見るもんなぁと思い出しました。
 
この意思表示書を書いた時、私とパートナーの関係を公に向けて言うことができた、もしもの時私のことはパートナーが決定すると言えた、パートナーが実行出来るようにした!という気持ちになっていて(書面に書き留めただけなんだけどw)、即、通っている病院の担当看護師にも医療意思表示書を書いたことを話した。すると担当看護師はちょっと驚いた感じだったが(こんな風に書いてる人、少ないんだろうと思った)せっかく書いたのなら表示書のコピーを預かりたいという話にまでなった。私もその提案に同意しました。
 
しかしちょっと時間が経って気持ちも落ち着いたら、私の方が書き込むことが増えるかもということで保留したままに…
保留にしたのには、もう一つ理由があって、自分の中になにかモヤモヤと割り切れて無い気持ちがあるのに気づいたからでした。
 
意思表示書にはパートナーの了解のうえに作成したこと、記された一切の意思表示について一切の責任は私にあること、そして、私の親族、関係のある人達へ、私の意思を尊重し忠実に果たしてほしいと書かれてある。
 
指示、と言ってもNO5までなのだけどね。
(1)医療説明の際のパートナーの同席
(2)看護、介護の権限をパートナーに
(3)意識が無い場合、もしくは正常な判断が出来ない場合の医療説明はパートナーへ
(4)(3)による際の医療方針の決定はパートナーに委ねる
(5)ICU,面会制限があるときの関係者選定はパートナーの指示に従ってください
と、今見るとシンプル。
とにかく最低限のことは守られてほしいという当時の気持ちが蘇ってきた。
以前の悔しい経験があったから、パートナーが排除されること無く、私の代理として決定できるように。
 
セクシュアリティ―をオープンにしたことで、両親・妹もパートナーの存在を知っている。だけど、いざという時どうなるかわからない。
特に親の気持ちはわからないと思っているので、決定権をパートナーへと記しておきたかったのです。
もしもめてもパートナーにこの表示書掲げて闘ってほしいという願いも込めて。    
今回この意思表示書を見返してシンプルだけどいいなと思っている。
 
実は病院へコピーを預けるのを保留したのは、書きこむことが増えるかもということだけではなく、パートナーへ委ねるということへ尻込みする自分がいたからなのでした。
もしもの時、私の思っているように彼女が決定してくれるだろうか…とグルグル。
委ねることの難しさを実感したのです。文字にして記すことで意義と責任を感じました。
それで病院へは預けなかったのです。意思表示はパートナーと妹に持っていてもらえば大丈夫と思いましたし。
自分の尻込みする気持ちに気づいた私ですが、その気持ちはパートナーには伝えられませんでした。そのことに関して自分が嫌にもなりました。逆の立場だったら彼女は躊躇いなく私に委ねるだろうと思うから。
 
そんなモヤモヤを時々思い出してはどうにかしたいと考え、少しづつ自分の正直な気持ちを伝えるようにしてあれから6年、最近はだいぶ彼女に委ねることが出来るようになっている。
コロナ禍で、どうしてほしいかも伝えられずいきなり奪われてしまう命が増えている状況、2人の会話で確認し合う機会が増えた。
その中で尻込みしていた自分のことも話せた。彼女は穏かに受け止めてくれた。
ほっとして、私の自信になった。医療意思表示書に記したことに今は尻込みしないで任せることできる。
そしてもう一つ保留していたことも進められる。
パートナーの医療意思表示書を書こうねとなった。
彼女が「私のもその表示書と同じ内容でいいからね」と笑っている。